不動産業者の立場(両手取引の問題2)
両手取引では利益が相反する売主様と買主様の双方の間を一人(一社)の仲介業者が取り持つことになります。
両手取引をするためには、不動産業者は「売り物件」を探さなければいけません。「不動産を売る」というのは慣れない人にとってはどういうプロセスで進めるのかなかなかわからないと思います。
情報が不足している売主様、あるいは買主様に対し多くの不動産業者が誠実とは言えない対応をしていると思います。
まず、不動産の価格というのは物件一つ一つ違います。マンションの同じフロアで、仮に全く同じ間取りだったとしても違います。どんな使い方をされてきたのか、ということももちろんありますが、価格が決まるのは買主になる人がその値段で合意するからです。
おそらくこのぐらいが相場だろう、という金額はあります。周辺の取引事例や、路線価、公示地価などから査定をします。しかし、実際には土地の形、間取り、それまでの使われ方、周辺環境など様々な価格に影響する条件があり、その物件を見なければ査定はできません。さらに、査定価格と実際に売れる価格は同じではありません。相手がいるからです。
不動産の取引により仲介手数料は「成功報酬」です。取引が成立しなければ、不動産業者としては手数料をいただくことができません。ですから、不動産を売りたいお客様と不動産業者との間では「媒介契約」を締結します。この媒介契約には大きく分けて3種類あります。
・一般媒介契約
・専任媒介契約
・専属専任媒介契約
一般媒介契約では売主様は複数の業者と締結が可能ですが、専任あるいは専属専任では売主様は1社の業者としか媒介契約を締結できません。一般よりも専属専任になるほうが不動産業者の義務が増える、売主様の手間は少なくなります。
一般媒介ですと、業者にとっては早い者勝ちになりますので不動産業者も広告費や手間をかけても手数料につながらない可能性が高くなり、力が入りません。専属専任や専任の場合、決まれば手数料収入に見込めますので、一生懸命頑張ります。
「無料査定します」というサイトやチラシをよく見かけます。これは不動産業者が、物件を売りたい人を見つけるためのものです。「売却物件を探しています」「敷地面積○○㎡くらい、3LDKの間取りの戸建て住宅を探されている方がいます」などというチラシが良く入っていると思いますが、これもそうです。
実際の査定は、現地と周辺の調査、役所、インフラ関係など様々な調査を経て総合的に売れるであろう価格を判断します。物件すら見ずにネットでのやり取りだけですぐに価格が出る査定は、信用してはいけません。それは、家を売ることを検討している人の情報を集めるための不動産業者の作戦です。
売り物件の情報がなければ、買主を見つけても「両手取引」にできません。
多くの不動産会社の営業マンには「ノルマ」があります。
本当は「じっくり、高く買ってくれる買主さんを探したい」と売主様が思っていても、営業所の上司から「今月中に契約○件決めてこい!」と言われている営業マンが「もう少し安いほうが売りやすい」と思ったとき、どうするでしょうか。
あるいは、「○○万円くらいの予算で買いたい」と思っている人がいても「高く売れたほうが仲介手数料も高くなる」ので、本当は売主様も譲歩してもよいと思っているのに値段を下げないということは起きないのでしょうか。
あるいは、「この家は傷んでいるところがあるのだけれど、その話をすると契約してくれないかもしれないから聞かれない限り黙っておこう」と業者が考えたとしたらその取引は安全といえるでしょうか。
仲介業者の都合で価格や条件が変わってしまうかもしれない、というのが両手取引の大きな問題です。
当社では、原則として「両手取引」は行いません。
(結果的に両手取引になる場合にはお客様に説明し、ご了解を頂きます。)
お客様の立場に徹底し、安心して、納得して不動産取引ができるようお手伝いします。
あなたのご相談する不動産屋さんは本当にあなたのことを考えていますか?
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